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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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醤油(しょうゆ)は、主に日本料理で使われる、大豆小麦を原料とし、麹菌酵母を利用した、味とうま味の強い発酵調味料である。正油とも書く。別名したじもしくはむらさきともいう。

東アジア、特に中国を中心とした文化において、醤油をはじめとする「ひしお()」は味覚文化成立に高い役割を果たしている。

目次

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[編集] 概説

良い香りと強いうま味を持つ汎用の液体調味料。 大豆小麦を主原料として、麹菌乳酸菌酵母による複雑な発酵過程を経て、アルコールバニリン等の香気成分による香り、大豆由来のアミノ酸によるうまみと、小麦由来の糖による甘みを持ち、主にメイラード反応による赤褐色を呈したものである。 主に、食品素材に対して上からかけたり、少量を浸す「つけ・かけ」用途の他、煮物の味付けにしたり、汁やたれの味のベースにしたりと、利用範囲が広い調味料である。

[編集] 醤油の物性

品質は「色」「香」「味」で評価される。高品質の醤油を製造するためには高い醸造技術・醸造管理・衛生管理・保存管理が必要となる。

  • 「色」は熟成の期間や温度経過によって無色に近い淡褐色から、黒に近い暗赤褐色まで存在する。アミノ酸と糖に富むため、酸化や加熱、成分の揮発のほか、メイラード反応が進み、産生されるメラノイジンにより色は濃くなる傾向にある。淡色で赤い色調のものが良いとされ、製造/管理的に高度な技術が必要であるが、地方性により、特に濃口醤油においてはむしろ色が濃いものが好まれる場合もある。
  • 「香」は、鼻で匂いをかぐときに感じる「トップノート」と、口に含んでから感じる「フレーバー」がある。香気成分の多くはアルコールをはじめとする酵母の発酵生産物であり、メイラード反応から、ストレッカー分解を経て産出される有機化合物、加熱工程にて産生される焦げ香も、醤油を特徴付ける重要な要素である。長期保存により酸化が進み、「劣化臭」といわれる臭いがつくことがある。また、製造工程における衛生管理の問題により、バクテリアによる腐敗臭や、味噌のような臭いがつくことがある。
  • 「味」は、塩辛さ、うまみ、甘みを強く持つ。塩辛さは原料の塩から、うまみは主にアミノ酸、甘みは糖による。それぞれ、麹により産生されたプロテアーゼアミラーゼ等の酵素により、主に大豆由来のタンパク質、主に小麦由来のデンプンが分解されたものである。

官 能面は、「きき味」により、主に色・香・味が評価される。「色は淡色で赤みがある色調で、かつ香り高く、味が良い」醤油が品質が高いとされる。特 に香について、花のような甘い香りや爽やかに鼻に抜ける香は一般的に「良い香」であるが、製品によって、生乾きの雑巾のような臭い、汗のような臭いなど 「悪い香」を呈するものもある。また、「麹の香」「味噌の香」「アルコールの臭」などの中間的なものが加わる、さらに、「よい香」とされる香も強すぎると 問題となるため、それらのバランスにおいて製造者ごとに特徴が出るものである。

塩分とアルコールを多く含んでいるので常温でも腐敗しにくい。ただし開封後は、極力酸素を避けて密封し、冷蔵保存することが望ましい。酸素存在下で放置すると、揮発性成分が揮発して香りが減少するほか、特に防黴剤として安息香酸が含まれない場合は、醤油液面に酵母(産膜酵母)が白く膜状に繁殖することがある。産膜酵母の実態は、醤油の主発酵酵母と同種のZygosaccharomyces rouxiiであり、いわゆる「醤油に生えるカビ」である。無害ではあるが香りは悪くなり、糖を消費するため味も劣化する。さらに、酸化によりメイラード反応が進み、色は黒くなる。 また、醸造期間にも劣化は平行して進行するため、単純に「長期醸造」が高品質というわけではない。

うすくち醤油(左)、こいくち醤油(右)
うすくち醤油(左)、こいくち醤油(右)

日本の醤油には長い歴史があり、各地で独自の風味や味わいを持つ醤油が開発されてきた。 日本農林規格(JAS)では、製造方法、原料、特徴などから、「こいくち」「うすくち」「たまり」「さいしこみ」「しろ」の5種類に分類されている。そして醤油は「しようゆ」と表記されている。

調味料を料理に用いる順番を表す語呂合わせの「さしすせそ」では、醤油は「せうゆ」として「せ」に割り当てられているが、歴史的仮名遣では「しやうゆ」と書くのが正しい。ただし、「せうゆ」という仮名遣も広く行われていたため、許容仮名遣となっていた。

[編集] 日本以外の醤油

健康食として日本食が世界各地で好まれるようになってから、醤油を世界各地で手にいれることが出来るようになった。醤油は現在100カ国以上の国に輸出されており、生産は年14万キロリットルにも達する。大手メーカでは現地生産も行われている。 一方アジアの他の国々にも醤油に似た調味料が存在し、英語では産地やタイプに拘わらず "Soy sauce" と呼ばれているが、必ずしも日本の醤油と味や製法が同じであるとは限らない。

中国にも大豆から作る「醤油 jiàngyóu」がある。 物性的には、色調は黒いが、中華料理における醤油の用途は、香りや味より、むしろ色づけに重点を置いている。カラメル等を加え、どろっとしてマイルドな「老抽」、塩が立って色が淡めの「生抽」がある。

大韓民国ではカンジャンと呼ばれる醤油がある。カンジャンも、日本の醤油と比較して色調が黒めで、主に他の調味料とブレンドし、ヤンニョムとして利用することが多い。また、日本と同様に刺身に「つけ・かけ」用途でも用いる。

インドネシアでも、歴史的に大豆を原料とした液体調味料が使われている。代表的なものとしてケチャップマニス(Kecap manis, manis=「甘い」)、ケチャップアシン(Kecap asin, asin=「塩辛い」)が用いられている。ケチャップマニスは、物性的には、色調が黒く、甘辛くどろっとした調味料である。ケチャップアシンは、比較的色が薄く、塩が立つさっぱりした調味料である。

タイでは、一般的に魚醤であるナンプラーがよく使われているが、大豆から作られた醤油、シーユーも、炒め物の味付けなどに使われる。甘味があるシーユー・ダムと、辛口のシーユー・カオが一般的。

かつて日本人が多く移民し、現在も日系人が多数在住しているハワイでも独自の醤油が生産されている。日本の醤油の系統に属する味ではあるが、大豆の風味が薄くさらっとした塩味になっている点が特徴である。

[編集] 歴史

醤油は(ひしお)の一種である。は、広義には「食品の塩漬け」のことを指し、その素材により、

  • 肉の塩辛は「肉醤」(ししびしお)
  • 魚の塩漬けは「魚醤」(うをびしお)
  • 果物や野菜の塩漬けは「草醤」(くさびしお)
  • 穀物の塩漬けは「穀醤」(こくびしお)

と呼んで区別される。 たとえば、「うおびしお」(魚醤(ぎょしょう)と区別するため、ここでは「うおびしお」と表記する)は、イカや魚の塩漬けであり、イカの塩辛なども「うおびしお」の一種である。 また、「くさびしお」は、現在の「漬物」が該当する。 そのため、日本におけるの起源は、魚や植物を塩漬けにして保存した縄文時代まで遡ることができる。

醤油はを用いて製造することが特徴である。を用いた発酵食品は中国を起源として、5~6世紀頃に中国で作られ、その技術が日本に持ち込まれたものであると考えられる。

紀元前8世紀頃の「周礼」で、「醤」という漢字が初めて使われた。このは肉の塩漬けであったようである。

500年頃の中国の『斉民要術』に、現代の日本の醤油に似た醤の製造法が記述されている。

日本では701年の「大宝律令」に、醤を扱う「主醤」という官職名があり、この時代は既に日本に醤があったとされる。

923年公布の「延喜式」には醤製造に関する言及があり、この時代、京都には醤を製造・販売する者がいたことが分かっている。

現在の醤油の直接の起源とされているのは金山寺味噌である。 伝承によれば、13世紀頃、南宋鎮江(現中国江蘇省鎮江市)の金山寺で作っていた、刻んだ野菜味噌につけ込む金山寺味噌の製法を、紀州和歌山県)の由良興国寺の開祖法燈円明國師(ほうとうえんめいこくし)が伝え、湯浅周辺にも金山寺味噌作りが広まった。この味噌の溜(たまり)を調味料として使うとおいしいことを発見したことから、液体の醤油作りが始まった。この「たまり」が、現代につながるたまり醤油の原型とされている。これに関しては伝承のみで、当時の文献や証拠品による裏付けがないが、ある程度以上には真実を含んだ伝承だと考えられている。

しょうゆという語は15世紀ごろから用例が現れる。1470年頃の「文明本節用集」に、漿醤に「シヤウユ」とルビが記載してある。1597年、「易林本節用集」という辞書で、はじめて「醤油」という語が使われた。(ただし、『鹿苑日録』1536年の日付の記述の中に既に漿醤という語が、山科時継の日記『言継卿記』の1559年の記述に「シヤウユウ」という語が、『多聞院日記』1568年十月二十五日の記述に「醤油」という語が既に使われているという指摘もある)

日本国外への輸出は1647年オランダ東インド会社によって開始された。伝承によればルイ14世の宮廷料理でも使われたという。フランスでの日本産醤油に関する記述は、『百科全書』(1765年)に現れる。ちなみに当時の記録によると腐敗防止の為に、醤油を一旦沸騰させて陶器に詰めて歴青で密封したのだという。用いられたビンは「コンプラ瓶」と呼ばれた陶器の瓶であり、多数が現存する。

江戸時代初期までは、日本の醤油の主流はたまり醤油であった。しかし、たまり醤油は製造開始から出荷まで3年かかり、生産量が需要に追いつかなかった。人口が増加し、食品の大消費地になっていた江戸近辺で、1640年代頃の寛永年間に、1年で製造できるこいくち醤油の生産が開始された。

うすくち醤油は、1666年、現在の兵庫県で、円尾孫右兵衛によって開発されたとされる。

上記のとおり、中国で生産されていた醤、醤油の製法が日本に伝えられ、日本での製造が始まったという説が有力ではあるが、弥生時代に食塩に漬けておいた食品に天然酵母がとりついて醤に似た食品が生まれ、ここから醤油が中国とは別個に発明されたという説もある。

[編集] 醤油の近代史

明治以後、醸造技術及び企業形態の近代化が進む一方で、醤油が生活必需品である事に目をつけた政府によって明治から大正にかけて醤油税が導入されていた。

戦後、醤油は危機的状況にあった。戦中戦後の食糧難に伴い主原料である大豆の醤油製造への配給が滞り、本来の醤油を作ることが出来なくなったのである。連合国軍最高司令官総司令部が 醤油の重要性を理解せず、大豆を酸で加水分解した方が効率良く製造できると指導してきたという逸話も残っている。そうした大豆の加水分解液を醤油に利用す る手法が戦後しばらくの間続けられ、本来の醤油の味が忘れられていった。そうした中で、正しい製造方法による醤油作りの復活が大手メーカーを中心に芽吹き 始め、景気回復と共に本来の美味しい醤油が食卓に戻った。現在では、アミノ分解法等の製法は、ほとんど用いられていない。

一方、日本人の洋食化・核家族化が進むと共に和食が 調理される機会が少しずつ減少していることに加え、過去は家庭で作られていた「めんつゆ」や「割り下」等が、家庭向け製品として購入されているため、醤油 自体の消費量は減少傾向にある。それと同時に日本人海外渡航者数の増加や、海外における日本食のヘルシーイメージの浸透など受け、醤油の輸出量が徐々に増 加していった。これに目をつけたキッコーマンがアメリカ合衆国に海外工場新設を決断。その後も海外での醤油消費量は伸び続けている。

[編集] 作り方

[編集] 基本的な製造法(本醸造・こいくちしょうゆ)

現在、国内で生産されている醤油の大半が本醸造であり、また濃口が大半を占める。 「本醸造」の条件は、大豆、麦、米等の穀物を蒸煮し、麹菌を用いて作成したに、塩水または生揚げを混合して発酵・熟成させたものを指す。麹に、蒸した米や甘酒を添加したり、分解を促進するための酵素を添加することも許されている。 JAS特級の条件には「本醸造であること」という項目も含まれているため、特級醤油であれば常に本醸造醤油である。

醤油製造は、以下の工程を経て行われる。

  • 原料工程
    大 豆(または脱脂加工大豆)は浸水し、膨潤したところで圧力をかけて蒸煮する。小麦は焙煎し、割砕して荒い粉末状にする。加熱条件には留意する。 これは、生の大豆タンパク質が最終工程に残ると製品(加熱時)の濁りにつながり、小麦の生デンプンは、一般的な醤油酵母は資化できないためである。
  • 製造工程
    1. 製麹(せいきく)工程:蒸煮大豆と割砕小麦を約1:1で混合したものに種麹を加えて混ぜ、高湿度下で3・4日程度培養を行い醤油を作る。麹菌は、Aspergillus oryzaeまたはAspergillus sojaeが用いられる。
    2. 仕込工程(前期):醤油麹に水を加え、麹の塊を崩して混合しながら醸造タンクに移送することを「仕込工程」と呼び、麹と塩水の混合物を諸味と呼ぶ。麹由来の酵素により蛋白質アミノ酸に、デンプン質はに分解される。
    3. 仕込工程(中期):諸味内にて微生物による発酵が起きる。まずは乳酸菌(Tetragenococcus halophilus)により乳酸が作られ、諸味全体が酸性に傾く。次に、酵母(Zygosaccharomyces rouxii)により、アルコール発酵が起きる。醤油の香りの成分の多くはこの工程で発生する。
    4. 仕込工程(後期):「後熟工程」とも呼ばれ、味・香を熟成させる工程。活発な発酵は行われず、アミノグリコシド反応等の、比較的静かな反応が続く。この時期にはCandida属酵母による香気成分の生成が行われる。淡口醤油の場合、仕込工程の末期に甘酒や米麹を添加することがある。
    5. 圧搾工程:ナイロン等丈夫な素材で作られた「圧搾布」に諸味を 包んで加重し、固体と液体を分離する。液体が「生醤油」、固体が「醤油粕」である。この際、主に大豆由来の油脂が分離して液面に浮かぶ。これを「醤油油 (しょうゆあぶら)」と呼ぶ。醤油油は微生物による分解や酸化のため、食用油脂としての利用はできない。また、醤油粕も利用価値が低いことから、メーカー は処分に苦慮することが多い。
    6. 火入工程:圧搾工程で得られた生醤油には、醸造工程で含まれた各種酵素などのタンパク質が多く含まれてい る。これを加熱すると、タンパク質は熱変 性して不溶化し、沈殿する。また、製品に焦げた臭い(焦げ香)をつけ、微生物を殺す。一般的にはプレートヒーター等を用い、熱がかかりすぎないように留意 すべきである。熱履歴が高い場合は製品の色が黒色を呈し、焦げ香が強くなりすぎることになる。
    7. 清澄・濾過工程:沈殿除去、珪藻土濾過や精密濾過などを用い、醤油に含まれる変性タンパク質など不溶性固形分を除去する。製品醤油の濁りは品質的には製品事故となる。ここで生醤油は、「火入醤油」と、沈殿分・濾過除去された分の「オリ」に分けられる。
    8. 詰工程:火入醤油に適切な成分調整を加え、容器に詰めて製品とする。
原料としての大豆
醤 油醸造では「脱脂加工大豆」が多く用いられる。脱脂加工大豆は、醸造用加工大豆と呼ばれることもあるが、一般的には大豆を原料に油脂製造を行っ た際の副生産物である。製品の一括表示内に原材料「大豆」と表示されているものは、未加工の大豆である丸大豆を使用していることを表し、脱脂加工大豆が使 用されている場合は「脱脂加工大豆」と表示される。原料に丸大豆を使用する場合、仕込工程の説明のように、丸大豆には未処理の油脂が大量に含まれているた め、これらの油分は仕込工程中に分離して、諸味の上に浮かんで油脂の層を作る。
丸大豆醤油を支持する製造者は、
  • 「油脂の層により諸味の酸化が防げる」
  • 「油脂から分解されたグリセリンが風合いを変える」
等の主張がある。一方、分析および官能試験では有意な差がないという意見もあり「丸大豆だから美味しい」とは一概に言えず、議論が発生するところである。
酵素添加による速醸法
仕込工程初期に酵素剤を添加することで醸造期間を短縮する技術がある[1]。しかし、この場合は醤油業中央公正取引協議会の業界基準により、製品表示に「天然」「生」等の用語を利用することができない。

[編集] 混合醸造方式・混合方式

混 合醸造方式、混合方式ともに、塩酸で原料処理を行い、水酸化ナトリウムで中和して得られたアミノ酸液を利用している。平成16年のJAS(日本農 林規格)の改正に伴い、旧名「新式醸造」が「混合醸造方式」となり、旧名「アミノ酸添加法」が「混合方式」と変更された。現在の醤油生産は、本醸造がその 多くを占めるが、アミノ酸液には独特の香りと味があり、特にそれが好まれる地域において混合醸造・混合方式も残っている。

混合醸造方式
原料に塩酸を添加すると加水分解してアミノ酸液が得られる。これを水酸化ナトリウムで中和し、諸味とともに仕込む方法を「混合醸造」と呼ぶ。
混合方式
醤油に、アミノ酸液を混合して製品とする手法。

[編集] 添加物

保存料
醤油では一般的に、防黴効果の高い安息香酸ナトリウムまたはパラオキシ安息香酸ナトリウムを使用する。高付加価値商品では安息香酸を添加しない製品もある。
アルコール
保存料として安息香酸を利用しない場合、アルコールの防黴作用を利用することがある。アルコールを添加して防黴作用を持たせる場合は、安息香酸を添加した場合と比較し、品質保持期間は短くなる傾向にある。
甘味料
一般的に、ステビア、果糖ブドウ糖液糖、サッカリン等が使用される。塩の辛さをやわらげ、マイルドな味わいとなる。
カラメル
黒色を呈色させる場合に添加する。また、独特の甘さと香りも追加される。
調味料(アミノ酸等)
グルタミン酸ナトリウム、核酸系調味料を添加して、うまみを強化する場合がある。

[編集] 醤油の種類と特徴など

こいくち(濃口)
関東地方で発達した最も一般的な醤油で、醤油の生産高の約9割はこれを占め、通常、単に「醤油」というとこれのことである。色々な料理の味付けに使われる。食堂にある醤油は、まずこれと思ってよい。原料の大豆と小麦の比率は半々程度である。生産地として、千葉県野田市銚子市香川県小豆島がある。
うすくち(淡口)
関西地方で多く使用される。こいくちに比べると、色や香りが薄いが、塩分濃度はやや高い。食材の色や風味を生かしやすいため、汁物、煮物、うどんつゆなどに好んで使われる。仕込み時に、麹の量を少なく、仕込み塩水の比率を高くする。圧搾前に甘酒を加えることもある。淡口は、味や香りより、色が重要であることから、酸化して黒みが出たものは価値がない。そのため、こいくちよりも賞味期限が短くなる。
たまり(溜り)
風味、色ともに濃厚なものである。刺身につけたり、照焼きのタレなどに向く。原料は大豆が中心で、小麦は使わないか使っても少量である。東海3県九州地方が主産地である。
さいしこみ(再仕込み)
風味、色ともに濃厚なものである。刺身、寿司などに向く。仕込工程にて、塩水のかわりに生醤油や醤油を用いて造る。甘露しょうゆと同義。一般的には淡口醤油の諸味が用いられる。
しろ(白)
色は薄く、醤油というよりナンプラーのような色である。味は塩分が強く、少し甘みを含む。煮物に向く。原料は大豆が少なく、小麦が中心である。色の淡さが特に重要であるため、淡口よりさらに賞味期限が短くなる。
減塩しょうゆ・うす塩しょうゆ
塩分の割合を通常の醤油より減らしたもの。前者は高血圧心臓病腎臓病などの人を対象に、厚生労働省の「特別用途食品」に指定され、減塩しょうゆの塩分は9%で通常の醤油の半分。うす塩しょうゆの塩分は13%で通常の醤油の8割程度。製造方法は、醤油からイオン交換法で塩分を除去する方法と、濃厚に造った醤油を希釈する方法の2通りがある。
刺身しょうゆ、だししょうゆ、土佐しょうゆ等
醤油を原料に、昆布だしやカツオだし、液糖やステビア等の甘味料を添加し、うまみを強化した液体調味料。公的な基準はないため、同じ「刺身しょうゆ」でもメーカーごとに風合いは異なっている。

[編集] 格付け

JAS(日本農林規格)では、醤油の品質基準に、含有する窒素分、無塩可溶性固形分(エキス分)、アルコールの量に従って格付けされている。 その中でもっとも重要とされるのが、「うま味」の指標となる全窒素分である。

  • 「標準」(濃口:1.2%以上、淡口:0.95%)
  • 「上級」(濃口:1.35%以上、淡口:1.05%)
  • 「特級」(濃口:1.5%以上、淡口:1.15%)

また、JASの他に日本醤油協会が定めている基準がある。

  • 「特選」:特級の10%増し(濃口:1.65%、淡口:1.265%)
  • 「超特選」:特級の20%増し(濃口:1.8%、淡口:1.38%)

また、醤油業中央公正取引協議会が定めるものとして、以下の表示を利用することができる。

  • 上級醤油は「上選」、「吟醸」、「優選」、「優良」
  • 特級醤油は「特吟」や「特製」
  • 日本醤油協会で言うところの「超特選」(特級の1.2倍)の場合、「濃厚」

[編集] 地方による好み

醤油は長い歴史の中で、地方ごとの食文化に適したものが好まれ、作られてきたため、地方ごとに物性面・官能面の傾向が異なる。

北海道東北では、基本的に関東の食文化に準ずる使い方をするが、東北地方ではより濃厚で塩辛い味付けが好まれる傾向がある。一部地域には、秋田のしょっつるのような、魚醤を利用する文化がある。

東日本では、基本的に濃口醤油のみを利用する。そのため、濃口醤油の品質に対する要求が厳しくなった結果、香りが高く、淡色かつ赤い色合いで、癖のない軽い風合いが好まれるようになったものであろう。 代表的なメーカーとして、キッコーマンヤマサ醤油ヒゲタ醤油がある。

中部では、濃口は一般用途、淡口は煮物や吸い物、たまり醤油は刺身、と使い分ける。白醤油の産地(主に碧南周辺)を抱えており、家庭での需要も高い。 代表的なメーカーとして、ヤマシン醤油盛田がある。

西日本では、濃口を刺身用、淡口を煮物や吸い物用として使い分けている。白醤油を使うこともある。特に淡口醤油の需要は高く、関東の料理屋でも「淡口醤油はヒガシマル以外は使わない」などのこだわりを持つ者も多い。 代表的なメーカーとして、ヒガシマル醤油マルキン忠勇がある。

九州では、こいくちでも関東の ものに比べ、比較的色は黒く、トップノートの弱い(関東の濃口と比較して「鼻にツンと来ない」と評される)、色や香りに濃厚な風合いが好まれる傾向にあ る。また、混合醸造方式・混合方式(前述)の比率が比較的高いという特徴もある。 甘みやうまみを添加した、どろっとした風合いの「さしみ醤油」を使い分ける。「さしみ醤油」は、特に脂が多い刺身への「のり」が良いという特徴がある。 代表的なメーカーとして、フンドーキン醤油ニビシ醤油等がある。

沖縄では、古来、うま味を得るためには昆布と魚や豚の出汁を利用することが多く、醤油は代表的な調味料ではなかった。戦後の食文化の変化に伴い、醤油を用いることが増えている。 販売されているものはキッコーマンヤマサ等、内地のものが多く、地場の大手メーカーはなく赤マルソウ等、比較的小規模な生産者が多い。 また、地場作物のシークヮーサーを漬け込んだ商品などが人気が高い。

醤油の地方性は、地方の食文化と密接に関連したものであり、一概に品質と直結して語られるものではない。 そのため、誰もが納得する「日本一の醤油」というものは存在しないと言っていいだろう。

食文化の例を挙げると、出汁の味や色を重視する関西の食文化に慣れた人間が、関東のうどんつゆを差して「底が見えないくらいに黒い汁」と揶揄することが多いが、関東のうどんの多くはかつてそば屋で供されるものであったため、そば用の返しをそのままうどんだしに用いると、「黒い汁のうどん」ができあがるものである。 最近は、関東にも関西・讃岐・九州のうどん店が増加し、「黒い汁のうどん」は急速に減少しつつある。 醤油を使い分ける地域ではその物性にメリハリが大きいケースが多く、例としては関西の濃口醤油は色が一般的に濃い。一方で煮物や吸い物の味付けには淡口を用い、出汁の風合いを壊さないよう調味することが一般的。

「東京で買った淡口は、関西で買うそれとは味が違う」と主張し、わざわざ同一の商品を関西から取り寄せる者もいる。

[編集] 醤油に関する俗説

醤油は人の髪の毛から作られている
大正時代から昭和初期にかけ、物資不足解消のため、様々な原料から食品を製造する試みが行われていた。醤油原料としても様々な原料が検討され、それぞれ長所・短所がある独特の製品が作られた。これを代用醤油と呼ぶ。その試みの一つとして、廃毛髪を酸分解したものを水酸化ナトリウムで中和することで、塩分を含むアミノ酸溶液が作られた。これも醤油の味がしたと言う。[2]
現在の日本でも、都市伝説と して、醤油の原料に人毛由来のアミノ酸が使われているという噂があるが、現在ではキャリーオーバーを除きJAS法や品質表示基準によって植物性たん白質の 使用しか認められておらず、髪の毛のような動物性たん白質の使用は禁止されている。しかし髪の毛を収集するコストと、脱脂加工大豆の購入価格を比較すれ ば、髪の毛からアミノ酸を生産することは非常に高コストで非効率である。現在の日本では法的には髪の毛由来のアミノ酸を原料とした場合、それを「しょう ゆ」と呼ぶことはできないが、輸入時においての検査は不透明で事実は闇の中である。
2007年、中国において、複数の醤油メーカー製品から、毛髪由来の成分が検出され、ニュースとなった。(代用醤油)
醤油を飲めば兵隊に取られない
かつて徴兵制度が 実施されていた時代に、検査の前日に大量の醤油を飲むことによって体調を崩し不合格となるといったことが、兵役を逃れる目的で実際に行われていたとされ る。醤油は高濃度の塩分を含む液体であるため、一時に大量を摂取すれば腎機能や肝機能の検査値に異常をきたすことは確実であるが、こうした無茶な行為に よって不可逆的な疾病を患ったり、急性症状によって死に至る例もあったと伝えられている。
醤油を使うとガンになる
昭和40年代に広まっていた俗説。はっきりとした根拠は不明であるが、麹菌がアフラトキシンを生産する、という噂が一人歩きしたものに、「大量に醤油を摂取した場合には塩分の過剰摂取による体調不良が起きる」ことが付与されて作られた俗説であると考えられる。
大手メーカーは2週間で醤油を作っている
本 醸造醤油の場合は、混合醸造方式・混合方式を利用することができないため、理論的に2週間では不可能と言ってよい。仕込み開始から2週間、比較 的高温で推移させた場合は、麹菌の酵素により諸味は一応液化するが、微生物による発酵過程を経ないため、香りは立たず、色は黒く、歩留まりは悪くなると思 われる。また、先に挙げた酵素添加による速醸法を用いることで、1ヶ月程度に醸造期間を短縮することができる。しかしながら醤油醸造は、酵素反応で原料が 分解されれば終了という単純なものではなく、広く使われてはいない。

[編集] 微生物の分類

[編集] 麹菌の分類

カビの中で、を作る際に用いられる菌が麹菌である。麹菌Aspergillus oryzaeおよび、醤油麹菌Aspergillus sojaeは、ともに醤油醸造に用いられているが、分類学的にはそれぞれAspergillus flavusAspergillus parasiticusと分類される。 Aspergillus flavus, Aspergillus parasiticusともに猛毒アフラトキシンを生産する、有毒なカビとして知られるが、産業的に用いられているAspergillus oryzaeおよびAspergillus sojaeは、 醸造工程中でアフラトキシンを生産することはない。 下の研究の結果、麹菌のアフラトキシン生合成経路は機能していないことが明らかとなった。 麹菌のアフラトキシン生合成能は、天然の麹菌から良質の麹菌株を得た時、もとからアフラトキシン生合成能を持たない株を選抜したか、数百年にわたる選抜お よび育種の結果、アフラトキシン生産能が欠けてしまったものと考えられる。

[編集] 酵母の分類

仕込中期にアルコール発酵を行う酵母を「主発酵酵母」と呼ぶ。過去、主発酵酵母は耐塩性のSaccharomyces属と分類されていたが、現在はZygosaccharomyces rouxiiと分類されている。古くなった醤油に生える白いカビも同種のもの。また、仕込後期に穏やかに香気成分を生産する酵母を「後熟酵母」と呼ぶ。Candida versatilis等、主にCandida属酵母である。

[編集] 乳酸菌の分類

過去、Pediococcus属の乳酸菌と考えられており、Pediococcus halophilusPediococcus sojaeと分類されていたが、DNA相同性による分類の結果、アンチョビやキムチから分離された耐塩性乳酸菌と同種であることが判明し、現在ではTetragenococcus halophilusと分類されている。

[編集] 醤油製造者

醤油製造者は、近年は急速に減少し、20年前には2000社以上を数えたと言われたが現在は約1500社を下回っている。(キッコーマン・Factbook[3]) これは、醤油価格が低迷している上、大手メーカーの地方進出に加え、副製産物の廃棄コストや設備の維持費高騰のため、地方の零細・小規模メーカーが廃業を 続けているためである。 商品としての醤油はコモディティ化が進んでおり、他の食品と比較して利益は一般的に低い。その一方で、年々、衛生面での要求は厳しくなり、廃棄物に対する 規制は強くなっている。特に、エネルギーコストが必要な製麹工程、人的・場所的コストが必要で、醤油油や醤油粕などの廃棄コストが必要な仕込工程を省略 し、全工程を独力で行わない製造者が増加している。製麹工程までを外部に依存するケース、仕込工程までを行わずに大手生産者より生醤油を購入し、火入・詰 工程を行うケース、OEMとして大手製造者に発注するケースがある。また、協業組合として複数の生産者が、製麹・仕込工程までを行う工場を作るケースもあ る。地方の中小メーカーの存在は、地域の食文化に密接に関係するものであるため、文化保全の意味も含めて、残って欲しいものであると惜しまれている。

都道府県別では、キッコーマン、ヤマサ、ヒゲタ等の大手が存在する千葉県が34%、ヒガシマルが存在する兵庫県が16%であり、この2県が圧倒的である。

参考 : 日本の醤油メーカー

[編集] 博物館施設

[編集] 参考文献

  • 林玲子 編『醤油醸造業史の研究』(吉川弘文館、1990年) ISBN 4642032991
  • 林玲子・天野雅敏 編『東と西の醤油史』(吉川弘文館、1999年) ISBN 4642033521
  • 林玲子『関東の醤油と織物 18~19世紀を中心として』(吉川弘文館、2003年) ISBN 4642033815
  • 林玲子・天野雅敏 編『日本の味 醤油の歴史』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー、2005年) ISBN 4642055878
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